目次
結論から言うと、ECサイト制作会社は、制作費やデザイン実績だけで選びません。公開後に商品・在庫・決済を回せるか、集客から購入まで測れるか、将来の変更や移行に耐えられるかを、同じ発注条件で比べます。見積もりの金額差が、何の範囲の差なのか説明できますか。
ECサイトの制作会社を比べる前に、売りたい商品と目標だけでなく、次の6つを誰が担うかまで1枚にします。
- 商品の更新
- 在庫と受注
- 決済
- 問い合わせ
- 集客
- 売上の計測
ここが曖昧なままでは、安い見積もりほど、あとから高くなることがあります。
ECサイト制作会社を比べる前に事業と運用を一枚にする
最初に決めるのは、ページ数や色ではありません。ECサイトを使って誰に何を売り、社内の誰が日々動かすのかです。
制作会社ごとに提案の前提が違うと、A社は最小構成、B社は撮影や集客まで含む、といった状態になります。総額を並べても比較になりません。次の項目を一枚へまとめ、全社へ同じ条件として渡します。
| 発注前にそろえること | 確認内容 | 決まっていない場合の扱い |
|---|---|---|
| 事業目標 | 新規客、既存客、卸、定期購入など何を増やすか | まず優先顧客と商品を絞る |
| 商品 | 点数、種類、更新頻度、画像・説明の担当 | 初回登録と継続更新を分ける |
| 受注・在庫 | どの台帳やシステムを正とするか | 手作業の回数と照合方法を測る |
| 決済・配送 | 利用したい手段、返金、送料、例外対応 | 対象地域と例外条件を整理する |
| 顧客対応 | 問い合わせ、返品、会員情報を誰が扱うか | 窓口と返答期限を決める |
| 集客 | 検索、広告、SNS、既存顧客のどこから始めるか | 一度に全部を始めない |
| 計測 | 閲覧、カート、購入、再購入の何を確認するか | 取得不能な数字を0にしない |
- 売る商品
- 対象顧客
- 購入までの詰まり
- 社内で動かせる時間
ここまで渡すと、提案の違いが見えやすくなります。
制作会社へ渡す前提シート
- 主力商品と優先顧客
- 現在の販売経路と月ごとの繁閑
- 商品登録・在庫・受注・出荷・返金の担当
- 連携したい会計、在庫、配送、顧客管理サービス
- 公開後に確保できる更新時間
- 集客へ使える予算と担当
- 購入までに確認したい数字
数字が未取得なら推測で埋めず、「カート追加は未計測」「在庫ずれの件数は記録していない」と残します。計測可能にすること自体を、初期制作の成果へ含められるからです。
構築方式・運用・売上導線を比べる7基準

ECサイトの制作会社は、次の7つの基準で比べます。
- 構築の方式
- 商品の運用
- 在庫と受注
- 決済
- 購入までの導線
- 集客と計測
- 保守と移行
| 基準 | 提案で確認すること | 弱い提案のサイン | 発注前の完了条件 |
|---|---|---|---|
| 1. 構築方式 | 変更頻度と連携要件に合うか | 有名な方式を先に決める | 選定理由と制約が説明される |
| 2. 商品運用 | 登録・価格・画像を誰が直すか | 初回登録だけで終わる | 日常操作を担当者が再現できる |
| 3. 在庫・受注 | 正本と同期、例外処理は何か | 「連携できます」だけ | 正常・異常時の責任が決まる |
| 4. 決済 | 手段、返金、入金照合の範囲 | 決済導入だけを示す | テスト注文から返金まで確認 |
| 5. 購入導線 | 商品発見から完了まで迷わないか | 画面の美しさだけ | スマホで一連の購入を検収 |
| 6. 集客・計測 | 入口と購入段階をどう測るか | PVだけを成果にする | 指標、担当、確認日が決まる |
| 7. 保守・移行 | 障害、改修、解約、データ受け渡し | 月額保守の中身が曖昧 | 範囲、期限、移行条件が明記 |
7項目をすべて最大化する必要はありません。重要なのは、自社で回らない工程を特定し、制作会社へ任せる範囲と自社が持つ範囲を分けることです。
同じ条件で提案を聞く。 各社へ「商品500点/週20点更新/実店舗と在庫共有/広告は月1回/社内担当は1名」のように同じ事実を渡します。そのうえで次を聞いてください。
最初に減らしたい手作業は何か
- 標準機能と追加開発の境界はどこか
- 自社担当者が毎週行う作業は何分か
- 連携が止まった時、誰がどう気づくか
- 公開前にどの端末と業務を検収するか
- 追加機能が必要になる判断条件は何か
- 解約時にどのデータを受け取れるか
答えに商品運用や異常時対応が含まれず、機能一覧だけが増える場合は、公開後の責任がまだ整理されていません。
2社の提案書を同じ発注条件へ戻す比較例
制作会社の提案は、書式や項目名が違うため、そのまま横に並べても判断できません。まず自社の発注前提へ戻します。そのうえで、担当と責任、完了証拠、追加費用が同じ欄で見える状態にします。以下は比較方法を示す架空例であり、実在企業の提案や金額ではありません。
想定するのは、次の条件のECサイトです。
- 商品500点
- 週20点更新
- 実店舗と在庫共有
- 社内担当1名
- 広告と検索から集客
A社は初期費用が低く公開までを中心に提案し、B社は初期費用が高い一方、日次運用と異常時対応まで含めています。この差を「安い・高い」で終わらせず、次のように分解します。
| 比較欄 | A社の提案例 | B社の提案例 | 発注者が埋める判断 |
|---|---|---|---|
| 商品更新 | 初回500点を登録 | 初回登録+週次更新の手順作成 | 公開後は社内担当が更新できるか |
| 在庫連携 | 標準連携を設定 | 標準連携+ずれの日次確認 | 異常を誰が見つけ、誰へ連絡するか |
| 決済 | テスト注文まで | 注文、取消、返金、入金照合まで | 経理と顧客対応の責任境界はどこか |
| 集客・計測 | アクセス計測を設定 | 商品閲覧から購入まで段階計測 | 誰がいつ数字を見て改善を決めるか |
| 保守・移行 | 月額保守は別途 | 対象、返答期限、データ受け渡しを明記 | 対象外と追加費用を契約前に確認 |
初期費用の差を、公開後の社内工数へ置き換える。 A社の提案で週次更新の手順が含まれない場合、公開後の作業は消えるのではなく社内へ移ります。商品20点あたりの画像加工と説明入力、在庫確認、公開確認に毎週何時間かかるかを見積もってください。そのうえで、担当者が確保できる時間と比べます。
B社が運用手順を作る場合も、作業をすべて代行するとは限りません。誰が商品情報を用意し、誰が登録し、誰が公開状態を確認するのかを分けます。初期費用と月額費用だけでなく、社内工数と確認負担を同じ期間で見ると、実際の差が分かります。
「対応します」を責任と完了証拠へ分解する。 在庫の連携で「対応します」と言われても、正常に同期したときの説明にとどまりがちです。発注の前に、次の5つまで確認します。
- ずれを検知する方法
- 通知先
- 一次の切り分け
- 連携サービスへの問い合わせ
- 復旧後の照合
完了証拠も業務ごとに変わります。在庫なら台帳とサイトの一致、決済なら取消・返金記録、商品更新なら公開ページの表示、計測ならテスト注文が各段階へ記録されたことです。担当名だけでなく、何を確認すれば完了と言えるかまで同じ欄へ入れます。
未記載はゼロ円ではなく未確定として残す
A社の見積もりに返金テストや移行支援が書かれていない場合、無料で含まれるとも、不要とも判断しません。「未記載」として質問へ戻し、含む範囲、追加費用、対応できない範囲を確認します。
比較表の空欄を推測で埋めないことで、提案の安さと未確定範囲を分けられます。回答後も不明な項目は、契約前の調査、公開後の社内対応、外部専門家への確認のどこへ置くかを決めます。これが、機能数ではなく公開後の運用責任で制作会社を選ぶための実務的な比較です。
最終の比較では、各欄を次の4つの状態に分けます。
- 確定
- 条件付き
- 未確認
- 対象外
条件付きには、前提になる商品数と連携の仕様、権限、対応の時間を書きます。未確認には、質問先と確認の期限を置きます。対象外は、別の会社や社内の担当へ引き継ぐ範囲です。
採用した理由だけでなく、採用しなかった案の制約も残しておくと、商品数や販売方法が変わったときに、構築の方式や保守の契約を見直す材料になります。
構築方式は初期費用より変更頻度と社内体制で選ぶ
構築方式は、初期費用の安さでは選びません。基準にするのは次の4つです。
- 商品や施策の変更頻度
- 必要な外部連携
- 障害時の担当
- 将来のデータ受け渡し
一般にSaaS型は標準機能から早く始めやすく、保守の一部を提供側へ任せられます。一方で、プランやアプリの制約が付いて回るのも事実です。オープンソースや個別開発は固有要件へ合わせやすい反面、更新、脆弱性対応、開発者の確保まで自社側の責任が増えます。
| 判断条件 | 標準サービスを優先しやすい | 個別性を検討しやすい |
|---|---|---|
| 商品・販売方法 | 標準的で変更が少ない | 固有の価格・契約・承認がある |
| 外部連携 | 既存アプリや標準APIで足りる | 基幹・倉庫・独自台帳と深くつなぐ |
| 改修体制 | 社内に開発担当がいない | 継続開発の予算と責任者がいる |
| 公開速度 | 小さく始めて検証したい | 要件を固めて段階導入できる |
| 移行 | 標準の書き出しで足りる | 独自データを長期保有する |
方式の名称だけで安全性や費用は決まりません。IPAのECサイト構築・運用セキュリティガイドライン※も、サイト形態に応じた責任分担と運用を重視しています。契約前に確認したいのは、更新主体と障害連絡です。あわせてバックアップと権限、外部サービスの範囲も見ておきます。
商品・在庫・決済は日々の担当と完了証拠で比べる
商品・在庫・決済は、機能の有無だけでは比べられません。確認するのは次の3つです。
- 誰がいつどの画面で処理するか
- ずれや失敗が起きたとき誰が復旧するか
- 何を完了証拠にするか
「在庫連携あり」でも、次の5つで運用は変わります。
- 同期の頻度
- 予約販売
- 返品
- 店舗での取り置き
- セット商品の扱い
「決済対応」も、注文が成功したときだけを見ていては、日々の負担は分かりません。失敗や取り消し、返金、入金の照合まで確認します。
| 業務 | 通常時の担当 | 異常の見つけ方 | 復旧担当 | 完了証拠 |
|---|---|---|---|---|
| 商品更新 | EC担当 | 公開ページとの照合 | EC担当・制作会社 | 対象商品の公開確認 |
| 在庫同期 | システム | ずれ通知・日次照合 | 社内+連携先 | 台帳とサイトの一致 |
| 受注処理 | 受注担当 | 未処理一覧 | 受注責任者 | 出荷・連絡状態 |
| 決済 | 決済事業者 | 失敗・保留一覧 | 経理+事業者 | 入金・返金記録 |
| 問い合わせ | 顧客対応 | 未返信一覧 | 窓口責任者 | 返信・対応履歴 |
日次運用の責任表。 制作会社へは、管理画面の説明だけでなく、実際の担当者が操作できるかを確認します。商品追加と価格変更、注文確認、返金テストまで自分で動かせるかどうかです。担当者が休んだ時の代替手順も必要です。
集客と売上導線は購入前後の数字で検収する

集客と売上導線は、検索表示やアクセス数だけでは足りません。商品閲覧からカート追加、購入完了、再購入のどこまで計測するかを決めます。誰が改善判断をするかまで制作要件へ入れます。
検索、広告、SNSは入口が違っても、購入までの共通段階へつなげて見ます。
| 段階 | 読者の状態 | 最初に確認する数字 | 詰まりがある時の確認 |
|---|---|---|---|
| 表示 | 商品や店を知る | 検索表示・広告表示 | 対象顧客と入口が合うか |
| 閲覧 | 商品を比較する | 商品ページ閲覧 | 写真、価格、送料、納期が明確か |
| カート | 購入候補にする | カート追加 | 選択肢と在庫が理解できるか |
| 購入 | 情報を入力して支払う | 購入開始・完了 | 入力、決済、送料で止まらないか |
| 継続 | また買う | 再購入・会員行動 | 商品満足、案内、在庫が続くか |
計測ツールを入れただけでは改善できません。誰が月に何回確認するかを決めます。そのうえで、どの状態なら商品情報や導線、集客、運用のどこを直すかも決めておきます。
初期費用だけでなく、次の5つまで一つの発注表に並べて比べてください。
- 商品の更新
- 在庫と決済のつなぎ込み
- 集客
- 分析
- 将来ほかへ移すときの費用
制作実績を見る時も、画面の印象だけでは判断できません。商品を探して比較し、購入し、運用できる設計かを確認してください。
見積もりは3年の運用費と移行条件までそろえる
見積もりは初期費用だけでなく、次の7つを同じ期間で比べます。
- 月額の利用料
- 更新の工数
- 保守
- 追加の改修
- 解約の条件
- 商品・顧客・注文データの書き出し
- 移行の支援
総額に含める項目
- 初期設計、デザイン、構築、商品登録
- プラットフォーム、アプリ、決済などの月額費用
- 商品更新、画像制作、特集ページの社内工数
- 障害対応、保守、軽微修正、分析の契約範囲
- 外部連携の追加開発と保守
- 解約時のデータ書き出しと移行支援
- ドメイン、計測、画像、原稿、ソースの権利と受け渡し
ドメインとは、サイトの住所にあたる文字列のことです。
3年という期間は万能ではありませんが、初期費用だけで見えない差を出しやすくなります。事業の変更が早い場合は1年、基幹連携を含む場合は5年など、判断期間を自社に合わせます。
料金ページは制作費の入口です。実際の費用は、含める範囲で変わります。撮影や原稿の有無、外部連携の数、運用と改善をどこまで任せるかが効きます。だから初期と継続は分けて見積もってください。
相談では必要な制作範囲と専門領域を切り分ける
EQUAL DESIGNでは、次の6つを伺います。AIOとは、AI検索の回答に使われやすくする対策のことです。
- いまの事業
- 商品
- サイト
- 社内の体制
- 予算
- 確認する指標
そのうえで、必要な範囲を整理して提案します。範囲の候補は、情報設計・デザイン・実装・SEO・AIO・計測・運用改善です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 確定している対応 | 現状と課題を確認し、必要な情報設計、デザイン、実装、検索導線、計測、運用改善の範囲を整理する |
| 条件付きの対応 | 商品撮影、原稿、外部サービス連携、個別開発、継続運用。仕様、権限、体制、予算の確認後に提案する |
| 一律に約束しないこと | 売上や順位の保証、法務判断、決済審査、セキュリティ監査、大規模基幹連携、外部サービスの仕様保証 |
いきなり全面構築を決めず、現行業務を見てから整理する方法もあります。標準機能で足りる範囲と、設計が必要な範囲、外部専門家へ分ける範囲に分けます。
ECサイト制作会社へ相談する前のチェックリスト
- 主力商品と優先顧客を一つに絞った
- 商品、在庫、受注、決済、問い合わせの担当を確認した
- 連携するサービスと正本データを整理した
- 7基準を同じ条件で各社へ渡せる
- スマホで商品閲覧から購入完了まで検収できる
- 集客から購入まで取得できる数字を確認した
- 初期費用、運用費、追加改修、移行条件をそろえた
準備が埋まらない場合も、発注できないわけではありません。不明点をそのまま制作会社へ渡し、調査と要件整理を見積もりに含めます。重要なのは、未確認を機能追加で隠さないことです。
よくある質問
ECサイト制作会社は何社くらい比較すべきですか?
固定の社数より、同じ前提と7基準で回答を比較できるかどうかで決まります。前提が揃わないまま社数を増やすと、提案の違いではなく条件の違いを比べることになります。
ECサイトはSaaS型を選べば安全ですか?
方式だけで安全性は決まりません。確認するのは、権限と連携です。あわせて運用と障害対応、バックアップ、決済事業者との責任分担も見ます。個別の監査や法令判断は専門家へ確認します。
売上を上げる制作会社はどう見分けますか?
売上保証ではなく、次の項目を具体的に説明できるかを見ます。
- 対象顧客と商品
- 集客
- 購入導線
- 計測
- 改善担当
売上は、サイト外の条件にも左右されます。商品や価格、在庫や接客、広告がそこに入ります。
公開後の保守契約は必要ですか?
障害、更新、外部サービス変更へ社内だけで対応できない場合は必要です。月額の有無だけでなく、対象と回数を確認しましょう。返答期限、対象外、追加費用も同じ欄で見ます。
まとめ|7つの基準で同じ発注条件へそろえる
ECサイト制作会社選びで重要なのは、最安値や機能数ではありません。公開後の運用と売上導線を、7基準で同じ発注条件へ変えることです。
- 構築方式
- 商品運用
- 在庫・受注
- 決済
- 購入導線
- 集客・計測
- 保守・移行
この7つをそろえると、提案の強みと抜けが見えます。現行業務から必要範囲を整理したい場合は、制作・改善範囲の相談から始めてください。
見積もりの差が何の差か読めないなら|無料相談
ECサイトの制作会社を比べていて、見積もりの差が何の差か読めないときにご相談ください。商品数と運用体制をお知らせいただければ、比べる項目を同じ条件へそろえます。










